海士町「島まるごと図書館」とは?
海士町中央図書館は、離島で暮らす人たちにとって大切な学びの場、憩いの場であると同時に、もう一つの大切な役割を担っています。それは、海士町で行っている「島まるごと図書館」の拠点という役割です。
まだ島に図書館がなかった頃に作られた構想が、「島まるごと図書館構想」でした。海士町では、持続可能な地域社会の実現を目指して、2007年より人間力溢れる人づくりの推進に取組んでおり、その中で「読書活動」が重点施策に位置づけられ、事業がスタートしたのです。
【島まるごと図書館構想】2007年策定 “図書館のない島”というハンディキャップを逆に活かし、島の学校(保育園~高校)を中心に地区公民館や港など人が集まる既存の公共施設を図書分館と位置づけ整備し、それらをネットワーク化することで、島全体を一つの「図書館」とする構想。
2007年にこの構想を掲げて動き出した海士町では、島内のいろんな場所に図書スポットが設置されました。港や地区公民館、福祉施設、診療所、学習塾、保育園、ホテルなどに、場の特性や利用者層に合った本が選定され並んでいます。もともと設けられていた閲覧専用の本コーナーに図書館が参加して本を増やし、貸出をできるようにした場所もあります。
少しずつ取り組みを進めていくと、やがて町の活性化と共に、新しく建設された施設側から要望が挙がるようにもなりました。こうして島内の図書スポット(図書分館)は、2021年には26か所になりました。
手書きの貸出用紙に書くだけで簡単に貸出ができ、返却ポストのある施設では、本館や他の図書スポットで借りた本を返すことができて便利です。最近では、個人事業の飲食店や、個人宅の文庫も図書分館に加わり、ますます幅広く個性豊かになっています。
人が集まる既存の建物に図書スポットを設置し、司書や職員がつなげて活かしていくというのが、海士町流の島まるごと図書館です。
また、町内の学校や保育園も分館に位置付けられており、公共図書館の職員が町内の小学校・中学校の図書館でも司書業務をしていることも特徴です。
町内の各施設で働く方たちのご理解ご協力と、設置を要望した分館運営者の想い、そして利用する方たちのご意見や応援の声に支えられて、島まるごと図書館は少しずつ形になり、住民や来島者のみなさんが気軽に本を手に取り、本に親しめる環境づくりが実現しています。
2020年に開館10年目を迎えた海士町中央図書館は、島まるごと図書館ネットワークの拠点です。職員が常駐し、レファレンス(本に関する質問・相談)の受付を行っています。どうぞご利用ください。
↑こちらの記事を読んでいただくと、より詳しいことを知っていただけると思いますので、ぜひご覧ください。