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インターンの関さんからみた「島まるごと図書館」

2022年8月30日(火)~9月2日(金)に、東洋大学・社会教育実習の受入れをしました。
そこで、実習に来てくれた関さんに、図書館に対してどのような感想を持ったのかを教えていただきました。

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Q1.  島まるごと図書館構想の取り組みをどのように感じましたか?

 一言で表すと「誰でも利用できる社会教育施設づくり」だと感じました。都市部においても図書館をはじめとした「誰でも利用できる」社会教育施設は多くあると思います。しかし、それは立地条件や本などの資料が多くあるという物理的なハード面でのものが大きいと感じています。

 今回の実習でいくつかの分館に行かせていただき、海士町ではこの「島まるごと図書館構想」の中で「分館」の機能に力を入れていることを肌で感じることができました。例えば、診療所の分館では医療やメンタルヘルス関連、料理関連など患者さん向けの選書がされています。学習センターでは高校生向けの進路選択に関する本、知々井地区ではお年寄りの方向けの小説の貸出が多いため、置く小説を増やすという取り組みが行われていました。また、分館にも本のリクエストカードが置かれているため、選書に利用者さんのニーズを反映させることができます。

 このように、住民の求めている本を選ぶことや診療所、保育園など日常生活の中で利用する施設にも分館を配置することや、多くの人が自分の生活圏内に分館があるような状態になっていることで図書館利用へのハードルを下げるなど、精神的なソフト面でも「誰でも利用できる」施設だと感じました。

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Q2. 海士町や図書館にどのような印象を持ちましたか?

 海士町は自然が豊かで、海と山の両方の景色が楽しめることに驚きました。また、夜の星空が本当に綺麗で感動しました。島民の方は知らない人でも通りすがりにあいさつをしてくださることや、釣りをしている人に突然話しかけても嫌な顔せずお話ししてくださることなど、温かくてオープンな方が多い印象です。

 図書館は陽の光が入り、目の前には田んぼと林が広がる明るく開放的な印象を受けました。そして、表紙が見えるような形で置かれている本が多いと感じました。今まで私が利用していた図書館は、高い建物の裏側にあり日陰になっているような閉鎖的な雰囲気で本棚に本がただ入っている状態が多く、閲覧スペースも会議室のように硬い椅子と机、デスクライトが並べてあるだけのスペースでした。また、飲食は厳禁だったので田んぼを眺めて読書や作業をしながらドリンクも飲める海士町の図書館は長居したくなる魅力的な空間だと感じました。また、私の周りには私語厳禁の図書館が多かったため、利用者さんと職員さんの会話や読み聞かせの声、子どもたちの声が聞こえる海士町の図書館環境には驚きました。
 

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Q3. 海士町図書館の良い点、特徴的な部分はどんな所だと思いましたか?

 1つは、前述したように分館の機能にも力を入れているところです。海士町のように離島で山が多く、交通網もあまり強くない地域は利用者さんが少なく、コストもかかるため分館の存続は難しいことが多いと思います。しかし、中央の図書館にアクセスしづらい地域こそ、誰もが図書という情報にアクセスできるように、分館の機能をなくしてはいけないと考えました。住民の利用促進や維持費の問題をどのように対策し、分館を存続させていくのかを考える重要性を感じました。

 そして、もう1つは図書館が積極的に地域の人やまちを知ろうしている、関わろうとしている姿勢が特徴的であると思いました。例えば図書館でのイベント企画の際は、参加が多い子どもたちの保育園や小学校の日程と照らし合わせてイベントの日程を考えていました。また、図書館で開催される図書館フェスティバルは住民も含めた実行委員会を立ち上げ、こども・中学生による読み聞かせ、発表の場を求めている高校生のステージ、ワインと本のソムリエ交流イベントなど住民が持ち寄ったイベントも行っていました。また、館長さんも分館に直接赴き、その分館の施設の方とお話しをすることで利用状況や施設の状況を知ろうとする姿が見えました。

 最後に、図書館が島内での娯楽施設・サードプレイスとしての機能も果たしているところが良いと思いました。館長の磯谷さんのお話しの中で、海士町への移住を迷っていた方が図書館を訪れ、「棚に並ぶ本の顔ぶれや柔らかい館内の雰囲気に、この図書館があるなら大丈夫。」と、図書館の存在が移住を後押ししたことがある、とお聞きしました。人の気持ちや行動を変えることができるという図書館の可能性を感じました。このことは図書館運営だけではなく、都市部のような娯楽施設やサードプレイスが少ないという海士町の立地環境も大きく影響していると思います。前述したように住民の思いにあった図書館運営が人やまちにもたらす力は大きいのではないかと考えました。

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4. 図書館への今後のアイデアはありますか?

 図書館で多世代交流ができるような空間になれたらいいなと思います。また、Iターンの方や島体験・島留学生の方も増えているので、そうした方たちと島民の方がもっと交流できるような空間を人と本を通してつくれたらいいなと感じました。

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図書館スタッフとは異なる視点で海士の図書館についてレポートしていただき、多くの気づきをもらいました。ありがとうございました!

海士町図書館はまだまだ成長します!皆様のご利用をお待ちしています。







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